60オッさんのタイ〜ラオス 1人旅 その47
畑、草叢、鬱蒼と繁った樹々の中、
凸凹道を、ある時は、ど真ん中に大きな水溜りがある道の脇を、幾度も幾度も、
バランスを崩さず進んで行かねばならない。
日々、起こるスコールの形跡だろう。
そんな道が続く・・・。
時々、観光用ソンテウが私たちを追い抜いて行く。
時には、前を行く牛飼いの群れを追い抜いたり、
また、ノロリと横切る牛の群れの隙を狙って突破したりする。
「結構あるね」
「もうすぐでしょう」
しばらくすると、民家が見え始め、住民が集会をやってる吹き抜けの木造家屋の前を通り過ぎ、だだっ広い休憩所兼お食事処がデンと構えている場所に出る。
「着いたかな、滝は?」
そんな気配がしない。
「見てあれ、イルカじゃない」
川イルカ観覧船、35000Kipの薄汚れた看板。
「そやな〜」
ここで、行き止まり。
前方はメコン川だ。
「道、間違ったかなぁ、しゃーない。どうしよう?」
「イルカ、見る?35000Kipか・・・」
そこへ、ソンテウで外国の人が到着。西欧系の高齢の夫婦で、
ガイドに案内され、急な階段を降り、川のほとりへ。
細長いカヌー状の船に乗って、出て行った。
「35000Kip、高いかなぁ。イルカどうしよう、見に行きますか?」
戸惑う私、
「そうだねぇ・・・」
ガイドに、
「35000、安くならないの?」
とAYさん。
「No!看板に書いてある。ダメ」
と、看板を指す。
「ダメみたい・・・で、船はすぐ出せるの?」
「少し待てば」とガイド。
「せっかくだから・・・」と私、
「行こうか」と2人揃って。
で、
「(ニッコリと)2人、行くわ」と、AYさん、ガイドへ。
「OK!」
ならばと水をお食事処へ調達。
とっても暑く、水はなくてはならない必需品。
戻ってくると、早くも、
「乗って!」
「ええっ!!」
「もう??」
いつの間にか、船着場に船がスタンバッている。
漕ぎ手は?
なんと、好男子だ!
いい気分!空は快晴!
AYさんと偶然の運命!このオジンの私が!
ほんと、もっと若かりし頃に、しときゃー!!!
ほんと、思います。
川面、スレスレで北へ進んで行く船。
「気持ちいい!!!!!ホントだよ!!!!」
進行方向、右手がラオス、左手の大地がなんとカンボジアだと、
好男子の船乗りが教えてくれる。
ゆったり、まったりと、船は、川イルカが居るピンポイントの場所へ向かっている。
常にそのエリアには居るらしい。
接岸されていく小島には、先ほどの外国の夫妻が船内で揺られ、川面を眺めている。
私たちは、その横に着け、丘に上がり小島のテッペンに向かった。
付き添う船乗りが指をさす。
「あの辺りだ」
ここと、対岸の中央辺りだ。
じーっと眺める。
川面に、ツルリとした黒い背中が、ホンの少しフワーッと現れ、沈んでいく。
「オォ!アレだ。いたいた」
再びツルリ。
またツルリ。
「もっと、飛び出して来ないの?」
船乗り、
「こない。ああいうもんだ」
「!?そうなん」
と、納得。
連続して、ツルリ、ツルリ、ツルリ、3匹。
一喜一憂していると、このドンデットを周遊する観光遊覧船が、
数名のお客を乗せ、島に着岸。コースに含まれてるんだろう。
しかも、ランチ付きだ。
丘に登り、見学している間に、
船乗りの1人が船内でバーベキューを焼き始め、フランスパンの用意。
焼き上がったらパンに挟み、
「オーイ。昼だよ」
と叫ぶ。
川イルカを存分楽しんで、時間を持て余しはじめた客は、
出来上がったランチに顔を綻ばせ、
次々と船に乗り込みバーべキュードッグとドリンクをもらい、船上でランチタイム。
『たぶん、このコースは割安なんだろうな』
と思い乍ら、私たちはこの小島を後にする。
AYさん、
「良かった、ここまで来て。見なかったら、きっと後悔してるよね」
「うん!」
彼女と出会ったから、今日も、こんな体験できたんだな。
私、1人だったら、絶対、行かないもんな。
やっぱり、どんどん、行かな!!
お金、関係なしに。
で、『だったら、ルアンパパンは?』と頭を掠める。
水を買ったお食事処でお昼にする。
私たち以外、客は誰もいない。
私は牛の焼き飯。
AYさんは、「これが好きなんだ」
と、多分、空心菜の野菜炒めを注文したのかなぁ?
『牛のヤキメシ・・・やっぱ、チキン、鶏やったかなぁ』
焼き飯が先にきたので、失礼する。
『なんだこの臭み。アチャー』と後悔。
彼女の料理はなかなか来ず、私は食べ終わってしまった。
客は私たち2人だから忘れるハズはない。
「そういうとこなんだなぁ」
と諦める。
旅をしてるんだ、いいじゃないか、慌てるな。
向こうは向こうで色々あるんだよな。
やっと、彼女の料理がやって来た。
ゆっくり食べて下さい。
小休止。
座敷で食事をした私は、トイレを借り、広い食事処をウロウロ。
隅で黒ネコが寝転がっている。
彼女に言うとカメラを手に戯れに行く。相当、ネコ好きなんだ!
しばらく、ネコと遊んでいたAYさん。