60オッさんのタイ〜ラオス 1人旅 その31
バスは国境に着き、出入国手続きに向かう。
荷物はこのままで、バスはそまま移動する。
この時、私は何も考えておらず、普通に手続きが終わると、
この停まっているバスに戻るのかなと思っていた。
(でも、そんな事はないハズです。何しろ国を超えるんだから)
出国窓口に並び、順番が進むに連れて、
『バスは?荷物は?・・・ああ、そうだ、戻れないんだ!?で、バスは何処に居るの??』
心がアタフタ、焦り出し、不安に襲われ乍らも、乗客の皆んなが平然と手続きを済ませ、何食わぬ顔でドンドン先に進んで行くのを見ると、
それに従って、私も先に進んで行ったらいいんだと、落ち着かないまま、前例に習う。
『でも、そうだ!今は、心強い、旅慣れた若き女性、AYさんと一緒だ。またしても、頼もしい人が付いているではないか』
出国手続き。
パスポート渡して、待つ・・・戻ってきた。OK。
でも、空港でもらった半券、出国カードが無い!?
当たり前だ、タイから出国したんだから!あっ、そうか・・・、私の頭は空洞状態。
皆んなの後を道順通り進んでいく。
地下に作られた通路。
映画で見るような、左右をセンターのパイプで区切った仄明るい狭い道。
30mほど進んで階段を上ると、
眼光鋭い係官が迎え、
その目前には拡がる荒涼とした大地。
その前方200m先には、人々が群がる建物が見える。
辺りの様子を見ながら進む私と旅慣れたAYさん。
しばらくするとAYさんが、
「アレ?ヤッタかな!バス居ない。大丈夫かな・・・?」
私は、自然に一瞬引き返そうと戻ろうとしてしまう。が、NO!
「!!そうだよな、入国したんや。そう、簡単に戻れるハズはない」
国境、境界線、言葉は知っているが、
実感の無い私にはさっき居た所に戻ったらいいやん!ってな感じである。
バスの居所を伺いながら黙って、AYさんと私は建物に向かって歩く。
情けないが、私はこの時点で入国許可(イミグレーション)をしなきゃいけないなどと考えていなかった。ただ、バスに乗り込んでそれでOKと思っていた。
興奮していたのかポッカリ抜けていた。