熊野古道(伊勢路/中辺路)を歩く
八鬼山から三木峠、羽後峠を経て賀田へ
9/27・8日目
雨は上がった。
一安心、でも、空はどんより。
鍵を掛け、Kさんに出発を連絡する。
充分、丸1日の休息後、
7:00
スタート。
尾鷲の街を抜け、矢ノ川橋を渡り、
しばらく行くと八鬼山の案内標識。
8:00
八鬼山登山口。
登り口も豪勢だ!
用意されていた杖を握り、
およそ130分、3,830m!
「いざ、進め!」
道のりは長〜い。
石畳は続く・・・。
熊野古道の石畳は最後の最後まで続く・・・。
雨上がり、山全体が湿気に包まれ、
石畳にアチコチ、顔を出してるカニが、
私に気付くとサッと引っ込む。
10:10
荒神堂で休憩。
サァ、出発だ!
10:45
ハ〜ァ・・・八鬼山だ!!
歩く速度、めちゃ落ち、時間かかりました!
思わず!?パチリ!?
11:35
十五郎茶屋、着。
白ペンキの世界遺産反対のメッセージ
参考:資料より
八鬼山は、
先祖代々、山菜を取り、林業を営み、狩猟をしてきた普通の裏庭だった。
それが「熊野古道」という立派な世界遺産にされたことで、
例えば、観光客に配慮して八鬼山での狩猟を禁止するなど、
かつての自由な生活ができなくなった。
あれは落書きではありません。『意思表示』です。
あれを描いて一番悲しいのは、地権者の私たちなんです。
あの意思表示は最後の手段です。
2004年、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録される。
これも事実!
12:15
八鬼山峠道、乗り越えたぞ!
雨にも見舞われず良かった良かった!
思ったより早く、午前中で終了。
昼からの時間もたっぷりアル!
舗装された車道ををテクテク歩き、
次の三木峠、羽後峠を目指す。
12:30
トイレがある休憩所で昼にする。
13:00
スタート。
13:42
三木里を抜け、
三木峠、羽後峠、ヨコネ道へ。
14:12
やっとこさ、三木峠登り口へ。
さぁー、行くぞ!
01/08・八鬼山に比べればとっても気がラクな数字!
14:40
着いたぞ、三木峠!
ここから、少し行くと絶景の展望所があるんですが、
疲れてて、行きませんでした。
今更ながら、残念!
峠道を降りたならば、そこは民家のすぐ横。
その間を通り抜け、海岸沿いの国道へ。
しばらく行くと、
国道脇に羽後峠登り口の標識。
苔に注意!
そして、
なんと、山道に水が溢れ、流れている。
昨日の雨の影響なんだろう。
行くしかない!!
おかげで、足の中がビショビショ!
16:00
羽後峠、到着。
陽も斜め。
山なので暗くなって行くのも早い。
「速く降りないと」と気を引き締める。
無事、明るいうちに到着。
16:45
小さな町、賀田に入いる。
古川橋を渡り、
今日の宿、民宿「幸」を目指す!
本来は釣り人が利用する宿みたいですが、
近年、お客さんが少ないと、ご主人が嘆いてらっしゃいました。
八鬼山を予定通り越え、続いて、三木峠、羽後峠も超える。
ちょっと、ハードだったかなぁ・・・。
案の定、歩き過ぎかな・・・、足が痛い!!
で、夕食後、ご主人。
「あとで、朝の弁当、持って来ますからね」
釣り客専門宿なので、
早出の釣り人のために朝食用の弁当を前日に用意するようだ。
「はぁ、分かりました」
と、早々と床に入る。
『朝、起きて、食べて出発しようか・・・』
と、ウトウトしながら寝てしまった。
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熊野古道(伊勢路/中辺路)を歩く
アルベルゲ『山帰来』での休息
9/26・7日目
雨の音で目覚める。
6時過ぎ。
身体が慣れてしまったようだ。
山の麓の宿なので、霧に包まれ先は見えない。
雨だけがザーザー降っている。
ほんと、明日、大丈夫なのか思案する。
小降りになったところでKさん宅へ。
丁度、近くのおばさんとバッタリ会い、一緒に伺う。
Kさんのお友だちで、同じ大工さんがお互いのロッジ風家屋を建てたようだ。
穏やかなご主人とお友だち、
そして、Kさんが淹れてくれたコーヒーを楽しむひと時を過ごす。
サンティアゴ巡礼を走破したベテランのKさんに今後の予定を聞かれ・・・、
まだ1週間もある現実、
疲労も溜まっている、
大丈夫かという精神面、
そして、雨で滞てしまった今日の1日などが、
「伊勢路、新宮までは、なんとか行きたいですけど・・・
熊野三山はちょっと、その時、元気だったら・・・」
と弱気のセリフを吐かせた。
頭の隅では反対の声。
「オイ、最後まで歩け!有言実行!情けない!
Kさんはサンティアゴなんだぞ!途中でやめたら、後悔するぞ!」
と呟いている。
「無理しないでくださいよ!先ずは、明日の女鬼山(めきやま)ですね。
晴れればいいんですのにね。そうそう、昨日、天狗倉山、行きましたか?」
「あ、はい。行きました。キツかったですよ」
「そうでしょ。けっこう、急勾配だからね。だったら、女鬼山、大丈夫ですね」
「あ、はい」
「それとさ、熊野、行ったら、大雲取越(おおぐもとりこえ)もけっこう、キツイけどさ、
その先の小雲取越(こぐもとりこえ)からの眺めはいいですよ」
「はぁ〜、そうですか」
と照れ笑いして、退散する。
部屋に戻り、今後の予定を立て、
明日、明後日の宿の手配をする。
雨は一向に止む気配なし!
より一層雨音が大きくなっているみたいに感じる。
風呂を浴び、
山間の静かな空間で、焼酎を頂き、布団に潜り込む。
ザーザーザー・・・。
「だいじょうぶかな?」
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熊野古道(伊勢路/中辺路)を歩く
馬越峠麓の宿、アルベルゲ『山帰来』から尾鷲の街へ
9/25・6日目(その2)
長〜い坂道を、
墓地の間をテクテク、テクテク。
車道のガードを潜り、いよいよ街へ。
が、ほとんど、閉まっている。
やはり、緊急事態宣言下!
「アチャー!大丈夫かな・・・、
ラーメンか丼もの食べたいのになぁー」
家の前で、作業していたご夫婦に聞く。
指し示し、
「あの斜め前の店、惣菜とか弁当あるよ」
「それから、ずーっーと行った、見えるかな、あの赤い看板。
そこレストラン、やってると思うよ」
「ありがとうございます」
馬越屋。
調理パン、おにぎりを買い、
後で取りに来ますと、置いといてもらう。
その先のレストランは、
残念ながらテイクアウトのみ。
カレー、オムライスなどなど。
「出来ればお店に入りたいよー」
スマホをチェックすると近くにラーメン屋がある。
ダメ元で行くと、
「やったー!やってる!」
恐る恐る入る。
誰も居ない。
奥から女性の人が顔を出す。
「やってますか?」
「いらっしゃいませ。いいですよ」
席に着き、シンプルなラーメンを注文。
「お客さん、どうですか?」
「この通りです」
「コロナの影響ですか」
「それもありますが、こんなもんですよ。昼間は」
「はー、そうなんですか」
ご主人らしき人が作ったラーメンがテーブルに運ばれる。
「ウワァ〜!!!」
スープを飲み、ツルツルー!
「旨い!!」
「ごちそうさんでした!あのー、コンビニ以外のお店は・・・」
(たぶん)奥さんにスーパーとコンビニの場所を教えてもらい、
礼を述べ、写真を撮ってもいいかと尋ねる。
「どんどん撮って!」
と嬉しそうに返答。
パチリ!
スーパーで今日、明日分の食料、焼酎を仕入れ、
馬越屋に寄って、きつい坂道を帰る。
荷物を抱え、ゆっくり、ホント、ゆっくり「山帰来」へ。
「着いたら、もう、何もしな〜い」
と、喘ぐ。
一息入れ、Kさんに連絡。
宿泊棟とは別の喫茶室へ招かれる。
(今は営業していない)
1本の大木から作ったテーブル、
ベンチに腰掛け、
淹れたてのコーヒーを頂く。
ご夫婦で走破したサンティアゴ巡礼の旅の様子を、
アルバムを見ながら聴き入る。
夕刻、空模様が怪しくなる。
明日の天気を再確認する。
「やっぱり、雨!」だ。
「明日も泊まらせてもらいます」
「いいですよ。もし、よかったら、明日、家に来ませんか?
主人もいますが、どうぞ。あ、食事もどうですか?」
嬉しいお誘い。
「お茶だけでしたら」とお受けする。
そして、どこかで、
「明日は休みだ!ゆっくりできる!」
と心の声。
静かな夜を過ごし、床につく。
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熊野古道(伊勢路/中辺路)を歩く
相賀から馬越峠を経て尾鷲まで
9/25・6日目(その1)
今日も早く、
6:15 スタート。
こんなに早く出発することもないが、
日々の習慣、また、アクシデントがあった場合のことを考えてしまい、
早々、宿を後にする。
その峠からの天狗倉山(てんくらやま)登頂。
そして、下ってすぐのところにある、
山小屋風の宿「アルベルゲ山帰来(さんきらい)」
でゴール。
今日は、
こぢんまりした予定だが、
疲れも溜まってきてるし、
歩く距離は5.5㎞と短いけど、
けっこう、キツそうな道のりだ。
6:45
朝日を浴びる便ノ山橋を渡る。
標識を確認しながら、
7:00
馬越峠登り口へ。
と、思いきや再び国道へ。
8:30
峠、到着。
登山、歩きを楽しんでる
イキイキしたカップルと会う。
ツヅラト峠に始神峠に続き、人との遭遇!
なんか、嬉しくなり、元気でる。
曜日を確認すると土曜日だ!
そして、見るだけで、
気分がウィークエンドになる!
カップルさんにパチリする!
と、お返しにと、
パチリ!してもらう。
「じゃ!」
カップルは勢い良く、
天狗倉山へ向かう。
「すごいなー!」と感心!
数分休憩して私も、登って行く。
結構、きつい急斜面が続く。
休み休み、進む!
後から来る、元気な男性に抜かれて行く。
トントン、トントン、
リズミカルだ。
またまた、
「すごいなー!」と!
9:15
やっとこさ、到着!
先ほどのカップルの声が、
大きな岩の上から聞こえてくる。
見るとハシゴが掛かっている。
下りてきたカップルに、
再び、挨拶を交わし、
先行く彼らを見送り、
重い荷物を置きハシゴを登る。
山頂だ!
今日、行く、尾鷲の街が一望。
9:30
帰路につく。
急斜面を用心して降りる。
何組かの人たちとすれ違う。
「人気の山なんだ!」
9:55
峠に戻り、
尾鷲市、桜地蔵方面へ向かう。
10:15
桜地蔵、着。
11:15
峠越えを終える。
「なんとまぁ、午前中で終わってしまったか。
早いなぁー・・・」
と、
ほんの少し歩くと、なんと、本日の宿、
「アルベルゲ山帰来(さんきらい)」
に着いてしまった。
「早すぎ!?」
念のため電話をする。
繋がり、丁度、掃除をしているからと、
オーナーKさんに招き入れてもらった。
別荘みたいな1件、丸々を1人で独占!
室内を案内してもらい、
「お茶でもご馳走しますから、遊びに来てね!」
と誘われる。
素泊まりですが最高の住環境。
Kさんは笑いながら、
「ごめんなさいね。今、食事はやってませんので。
ご自分で・・・街にお店があるから大丈夫ですよ」
なので、今日の昼、夜、明日の食料を仕入れなきゃ!
ただ、街までは30分ぐらいかかる。
しかも、急坂を下りきった所だ。
行きはヨイヨイ、帰りは辛いか・・・。
仕方ない!!!
一応、気になっていた天気予報を見ると、明日は雨!
「アチャー・・・!」
今回、伊勢路、一番の難関、
八鬼山(やきやま)越えをする、気合が入る1日なのだ!
「明日、雨だったらもう1泊できますか?」
「空いてます、大丈夫です!雨だったら無理しない方がいいですものね」
「そうですか。一安心です」
疲れた体に鞭打って買い出しへ。
「こんなにいい天気なのになぁー・・・」
急斜面を下って行くことにする。
ーーー続く。
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熊野古道(伊勢路/中辺路)を歩く
紀伊長島から相賀まで
9/24・5日目
朝、買っておいた、おにぎり、パンを食べ、
6:25 スタート。
魚まち、長島造船を経て、
国道42号を進み、一石峠へ向かう。
7:30
一石峠、着。
小さな峠なので、
時間もかからず、
気持ちよく越える。
8:10
せっかくなので、
古里温泉街を抜け、
古里海水浴場へ。
海沿いの遊歩道を進み、
舗装道に出て、
さらに進むと、林道に入った。
しばらく、行ったところに、
9:18
三浦峠登り口。
この峠も小さいので、
しんどくはないだろう。
登り口から次のポイント、
三野瀬駅までは、
約2.5㎞、およそ60分の行程。
9:40
三浦峠に着くが、
なんと素朴な峠だった。
10:10
最後に熊ヶ谷橋を渡り、
峠越えを終える。
10:25
三野瀬駅を通過して、
郵便局で、昨日、出来なかった、
キャッシュを下ろす。
地方では郵便局のパワーが絶大だ。
次に目指すは、始神峠(はじかみとうげ)。
一端、国道42号に出て、海岸線を進む。
10:45
始神峠登り口へ。
テクテクテク。
エッコラショ!
「人の声?・・・」
始神峠に着いたのかな?
11:30
到着!
「こんにちは!」と挨拶。
1人のリーダー格の青年が、
「どちらから?」
「伊勢から歩いてるんです」
「あー、そうですか?それは、大変ですね」
「まぁ、一度はと思って」
「僕もよく歩くんですよ。1日コースでね。
ここも、何度目かなぁ・・・へへへ」
数人の人たちと、会うとは思わなかった。
ので、またまた、なぜか嬉しくなった。
仲間の女性からみかんを頂く。
食べる。
美味しい。
「ごちそうさまでした」
12:30
峠を下り終え、
休憩所で小1時間、休む。
あとは、平坦な道ばかりだ。
14:20
船津駅に到着。
小さいとはいえ、峠超え、3つ。
足にキテいる。
小休止して、歩き出す。
国道42号と合流すると、
そのまま進んだり、
逸れて町中の道に入ったり、
また、国道を歩いたりを繰り返し、
相賀へ向かう。
平坦だから、逆にツライかも。
足が棒になり、フラフラだ。
15:42
相賀に入ったらしい、ファミマとスーパーが見える。
「着いた!!」
足も軽やかになり、
スーパーで弁当とツマミ、ビールなど仕入れる。
今日は素泊まり。
予約時にスーパーがあると聞いていたので大助かり。
たっぷり仕入れて、民宿「広海」へ。
16:30
「ごめんくださ〜い」
年配のおばぁちゃんがやっと出てくる。
この宿、このおばぁちゃんが、1人で切り盛りしているみたいだ。
なかなか、親切で、みかんやお菓子をススメてくれて、
「針」まで頂いた。
「針!」
足の水膨れがどんどん大きくなり、潰すための針です。
あったかーい、風呂を浴び、
おばぁちゃんと雑談しながら、
弁当を食べ、ビールを流し込む。
「あーー、旨い!!」
「明日は馬・越・・峠・・・か・・・?」
ウトウト、思いながら寝てしまった。
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熊野古道(伊勢路/中辺路)を歩く
伊勢柏崎から紀伊長島まで
9/23・4日目
6:30に朝食を頂き、
7:15 出発。
昨晩、足の水泡を潰すために、針を貸してくれた女将さん。
今朝は、火打ち石を打って、送ってくれるではないか。
嬉しくなり、パワーが漲ってくる。
踏み込むたび、痛む足も、徐々に慣れて行く。
大内山から梅ヶ谷、
そして、ツヅラト峠までの道のりは、
国道と平坦な道がほとんど。
「熊野古道?」
ってな感じで、時々、不安がよぎる。
道標や幟も少なく、
「これで大丈夫?」
って思ってしまう。
なので、道標や幟が現れると、
「ホッ!」
と、胸を撫で下ろす。
8:00
太陽も輝き、
巡り会えた、
この一瞬、このタイミングに感動。
大内山川沿いでパチリ!
途中、
この先、熊野古道、立入禁止。
迂回路の案内板。
国道42号線へと矢印→が。
「へー、またまた、国道!?」
でも、案内板の先、目の前には、
車1台が、充分、通れる林道が伸びている。
「いいんじゃないの!」
と、進む。
右手には、細い小道が並行して伸びている。
林道は、どんどん上り、小道から離れて行く。
「アリャァー!!!」
林道が途絶えた。
造成中だったのだ。
「やっぱり・・・」
元まで、戻るのはキツ〜イ、
さっきの細い小道を行けばと、判断して、
そこまで戻る。
順調に進んで行くかのように見えたが、
道が二手に分かれているところで迷う。
川沿いということを頼りに進む。
廃屋の裏手に出る。
表に廻る。
川に並行して、舗装された道が伸びている。
ただ、熊野古道ってな道じゃない。
でも、これしかないので進んで行く。
自動車道に出る。
左手に大内山動物園案内板がある。
「これでいいんだ!」
胸を撫で下ろす。
歩き続けて行くと、戻るのがイヤになる。
疲れで、体力が、時間が、勿体無いと・・・!
行けばなんとかなるんじゃないかと!
思っちゃうが危険です。
やっぱり、止めましょう。
再び、国道をエッチラ、ホッチラ、
梅ヶ谷まで。
やっと、
国道を外れ、踏切を渡り、
ツヅラト峠への登り口に向かう。
(ツヅラト峠ルート)
踏切を渡らず、まっすぐ行く、
別の「荷坂峠ルート」もある。
で、で、で、
ここで、古道を歩き出して、
初めて、同じツヅラト峠を歩く、
ご夫婦がやって来た。
「おお!私以外に歩く人がいる!?」
何やら、嬉しくなり安堵感が、私を落ち着かせた。
10:30
峠超えまえに一休み。
挨拶を交わした、ご夫婦が
「お先に」
と先を行く。
後ろ姿を見ながら、
「今回の山歩きは安心だよなぁ〜!」
と、リュックを担ぐ。
ツズラト峠、超えれば、今日は終了だ。
足も軽やかだ!
今日、お世話になる宿は・・・
電話で予約した時、
翌日の宿の事も心配してくれた女将さん。
「もし、見つからなかったら、ここに戻って、
次の日、列車乗って、再スタートしたら。
空いてるから泊まっても大丈夫よ!
そんな人もいるんだから」
優しいお声掛けしてくれた宿、
「ゆうがく邸」が楽しみだ。
事前情報でおしゃれな空間だそうだ。
そんなことを思いながら山を登って行く。
先に出発した、ご夫婦には全然追いつけず。
「はやいなぁー。それとも、私が遅すぎ?」
テクテクテク・・・。
あとは、この、峠超えだけ・・・、
なので、気分は楽チン!
13:00
下りきった辺りの休憩所で、
お昼を楽しんでいる、あの、ご夫婦に追いつく。
「やっとだ! あー、でも、仲良いなぁー」
軽く礼をし、先を行く。
アスファルトになった道は、
国道に繋がり、
紀伊長島に入って行く。
14:00
早く着きすぎ。
先送りして、次の、一石峠を越え、
三野瀬駅まで、歩こうかと検討するが、
紀伊長島駅までの、戻り列車の時間合わず。
それもあるが、
足、体調のことを考え、宿に直行する。
思ってみれば、
身体のこと、足のこと、ばかり気にかける毎日だ!
まぁ、当然だろう。
故障したら、歩けないんだから。
コンビニで酎ハイとソーセージを買い、
誰もいない公園で遅い昼にする。
ちょっとばかり、虚しい感じだが、
ソーセージを頬張り、酎ハイを呷った。
ちょっとばかり、街をブラブラする。
「そうだ、お金だ!今のうちに」
と、郵便ATMに行くが停止中。
「あれ、こんな時間なのに。なぜ?」
出ると、たまたま、町のおばさんがいたので、
思わず、声に出した!
「これ、故障中なの?おかしいなぁ〜」
「今日、旗日よ!」
「!!・・・休みなんだ!」
と、曜日感覚がなかった自分に納得。
そして、「ゆうがく邸」へ。
大きなドア越しで、碁を楽しんでる男性2人。
「こんちは〜」
「ああ〜、その横の玄関から入ってきな」
ガラガラガラーと入り、
「今日、ここで、泊まるものですが・・・」
「そこで、座って待っててなぁー」
手慣れたように、年配の男性が電話。
終えると、
「今、来るって!留守番してんのよ〜」
「ええ、はい」
しばらくすると、
品のある女性、女将さんがやって来て、
部屋を案内してくれた。
泊まる2階の部屋は、
欧風で別世界。
トイレとシャワーも綺麗。
室内のインテリアも凝っている。
1階も充実しており、
日当たりのいい、キッチン、食堂、
立派な柱のある居間、
そして、お風呂もある。
ただ、今回のように私1人の時は使わないようだ。
大人数の場合に限る。
8人限度でそれ以上になると、
この建造物、部屋の空間がマッチングしなくなるので、控えているそうだ。
なので、宣伝もしていないとのこと
なのに、ここで、言っちゃって、すみません!
この建物を愛する独自の物差し、プロの価値観。
聞いてみると、建築家!!
解体しようとしていた、この町屋を、
「一度、見てみたら?」
と、
知人の誘いでなんとなく一見!
魅力に惹かれ買う運命になったという。
で、
修復して、宿にしようと決める。
「使わないと痛んでくるからさ」
と、笑う。
「洗濯機もあるから、使っていいよ」
熊野古道、歩く人のことも理解してくださっている女性だ。
「夕食は、多喜屋さんって、お店で食べに行って下さい」
とのこと。
「そうか、外、食べに行くんだ!?」
一度、宿に着くと、ホント、歩きたくなくなる。
結構、苦痛だ!
「・・・でもなぁ・・・」
陽も落ち、薄暗くなった港町。
重い足を引き摺り、5分ほど歩く。
どこの店も閉まっており、シ〜ンとしてる。
そうだ、緊急事態宣言下なんだ!
先に、明かりがポツリ。
「あった!多喜屋さん」
「ごめんください」
客は私1人。
「いらっしゃい。お掛け下さい」
威勢のいい奥さんだ!
カウンターには夕食が並んでいる。
「ゆうがくさんに頼まれたら、断れんでな」
いい人なんだ!
いい人にはいい人が付く。
関心してると、
目の前に生のジョッキが!
「私の奢り、飲んで。疲れてるでしょ。
さっきね、頼みますって、寄って来てさ。
私も飲もうかな・・・」
「乾杯!」
この時点で、
先ほどまでの
「・・・でもなぁ・・・」
が、ドーーンと吹っ飛び、
来て良かったなぁーと、
勝手な自分に大反省。
「現金なやっチャー〜〜」と。
松茸、松坂牛、小鯵のフライなどなど、
堪能しながら、威勢のいい奥さんの夢を聞く。
漁師の娘の女将さんは、
「体験民泊」の準備に大忙し。
未来のために、子供たちのために、
『自然と戯れ、スマホも禁じて、
肌と肌の触れ合いを大切にした
シンプルな体験をさせたい』
と、もう一つの夢に向かって走るパワー溢れる良き人だった。
また一つ、イイ体験をした!
カップの地酒を飲み、ベッドに入る。
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熊野古道(伊勢路/中辺路)を歩く
川添から伊勢柏崎まで
9/22・3日目
無理を言う客1人、
私に、
何かと気にかけてくれた「岡島屋」さん。
美味しい朝食を頂き、
栃原発、7:25の列車で川添へ。
紀伊本線は1日、数本しかなく、
時間は調べておいたほうがいい。
備えあれば憂いなしだ。
7:35
川添スタート。
暗〜い、曇り空。
しばらくすると小雨!!
「今日は雨の中か?」
腹を決める。
リュックにカッパを羽織らせ、
折畳みを手に、トボトボ歩く。
行先確認で地図、スマホを見る。
昨日、失くした老眼鏡、
予備を持ってきてたので、大助かり!
しばらく、国道を歩きエッチラ、ホッチラ、
多少、道に迷いかけたが、
無事、三瀬谷へ。
なんと、スーパーショッピングセンターがあるでないか!!
そして、太陽もニッコリ、輝いてきた!
峠超えもあるし、何かと備える。
ソーセージや調理パン、ドリンク(+アルコール)を仕入れ、
ATMで現金も下ろしておく。
ここでは、カードは使えるが、現金だけが頼りの所もあるからだ。
一息入れ、
写真では、その高さが判らないが、
ホント、どんどん、端に吸い寄せられて行くような感じがして、
怖いと思った「船木橋」を渡る。
まだまだ続く、国道をひたすら歩く。
「今日も国道(アスファルト)ばっかりやなぁ〜」
とボヤく。
で、
きた、きた、きたー!
三瀬川登山口、三瀬坂峠の標識。
幸い、天気ももっている。
樹々の匂いがする。
三瀬坂峠を抜け、急坂を下りる。
次に目指すは、
伊勢神宮の別宮「遥宮(とおのみや)」、
瀧原宮。
プラプラ歩くうち、雲行きも怪しく、雷が轟始める。
瀧原宮に着いたら、一息入れ、考えよう!
「阿曽から柏野、伊勢柏崎まで10キロを、歩くか?」
それは、キツイ!!
「阿曽まで歩き、次の宿、伊勢柏崎までは、列車で、フッ飛ばすか?」
頭がグルグル、足もクラクラ。
3日目が私を襲う!
トドメに、雷も威力が増し、雨もポツポツ。
心が焦り、慌てる。
幸いなことに、瀧原宮を取り囲む塀が見えてきた。
「雨宿りできる所ないですか?」
「すぐ隣に「道の駅」があるよ」
「また、後で来ます!」
礼を述べ、待機だ。
間一髪、土砂降り、稲光を避ける。
正午。
お昼にして、様子を見て、策を練る。
郵便配達人、お参りに来た人も、数人、雨宿り。
買っていた調理パン、アルコールをお腹に入れ、
心も落ち着く。
相変わらず、雷は収まらない。
道の駅、中を見て回り、
伊勢うどんに目が行く。
食べる。
「残念!」
口に合わず。
13:30
1時間半経つ。
勿体無い、雷は収まったので、
雨の中の瀧原宮、参拝を決意。
こんな、雨の中、
1人かなと思ってたが、拝み終えた帰り道、
2人の男性と1組の夫婦とすれ違う。
「いいなぁ〜」と感じた。
14:15。
調べる。
滝原駅、14:17発の列車、
間に合わない。
次は16:03。
で、次の駅、
阿曽は数分プラスの16:08発。
逃すと17:25か?
悩む。
「歩く、歩かない」
と呪文を唱えるように、滝原駅まで歩く。
「おい、ガンバレ!」
と、言わんばかりに、雨が小降りになり、陽も差して来た。
14:50。
駅に着く。
振り返ると、30分ほど掛かってる。
歩行速度も落ちてる。
阿曽まで歩くとしたら、
阿曽の列車、発車時刻まで1時間半。
で、4キロほど。
行けないこともない。
「阿曽までがんばるか?それとも・・・」
身体が拒否反応。
無理することはない。
無理すればイヤになる。
フラフラだ!
「早く宿に入って、ゆっくりしよう!」
足の豆も水泡となり、イヤな感じだ。
待つこと、1時間ほど。
次の宿の手配など、
整理整頓して、
16:08の列車に乗る。
まったり、ゆっくり、風呂を浴び、寛ぐ。
洗濯もしてくれるいい旅館「紀勢荘」。
夕食はうなぎの蒲焼もある豪華なもの。
「最高〜〜!!」
心身共に落ち着くと、
今一歩の踏ん張りがない!と、
追い込んでしまう自分に反省。
「この旅はまったり、ゆっくり、リフレッシュ旅で、いいんじゃないの!」
でないと、
「長〜く歩く」という、した事ないこと、やってんだから、
無理したらイヤになるんよ!!
と。
肉体、体力、そして精神力も落ちてるんだから!
寝床で、
「なんでしてんねん、もうやめよかなぁ〜」
弱音がポツリと浮かぶ。
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