イイ人に出会うと夢が拡がる「助監督、回顧録」2
映像制作、動画編集をメインに、現在、NGOチャリティー活動中!
動く生活のかつみンです。
過去の自分の、その時、その作品に携わって学んだ考え方、
作法、ルール、生き方、思考を思いつくままランダムに振り返っていきます。
そこから見えてきた「何か」があれば、
これからの暮らしに再起動させ、より楽しく、充実できるようにします。
気になる方はご覧下さい。
1本フル体験(No.2)
2回目の仕事。
助監督として、初めて丸々1本、参加した作品。
面倒見のいい助監督の先輩Yさんに出会う。
フリーの助監督は、先輩に気に入られるか、
監督、プロデューサーに認められるか、
これが大事で、そうしないと仕事が回ってこないなど、
当たり前なようなことだけど、
人脈がメチャ大事という事を改めて教えてもらいました。
何となくは、分かっているも、現場の人の声はやはり響きます。
ほかに、仕事の段取り、効率のいい進め方。
各パート、撮影、照明、録音、衣装、美術などのスタッフとの付き合い方など、
いろんな心得をビールを飲みながら教わりました。
「実はカチンコ、全然ダメなんです!」
とホントのことを言う。
「かまへん、かまへん、俺もそやった。そんなん、最初は、誰もそーや!
気にすることない!教えたる!」
僕と一緒、関西出身のY先輩は、
大声で「ギャハハハハー」と笑いながら、
「こうやるねんでー!」
パチン!!
と、ドヤ顔。
ホントにいい先輩でした。
その後も、声をかけてもらい、数本、一緒に仕事をさせてもらい、
最後には、角川映画の「キャバレー」(後日、雑感、書きます)に誘ってくれて、
メチャクチャ、喜びました。
結婚したY先輩の家にお邪魔して、
得意のピーマンのパスタをご馳走になったり、
赤ちょうちんで奢ってくれたり
ホント、僕を可愛がってくれました。
で、ある日、
「すまん、もう、誘われへんようになったしもたわ。悪いな。
三重に帰らなあかんねん。親の仕事でな・・・」
「えっ!?」
「長男やから・・・楽しんだから、もう、ええわ!」
苦渋の決断だったんでしょう。
引退してからは、1、2度、三重の実家に遊びに行かせてもらいましたが、
今では、遠い出来事になってしまいました。
ありがとうございました!
書いてるうちに、僕も、
●人脈がメチャ大事
●面倒見の良い先輩。なので、見習って、誰かに恩返し
を再認識しました。
さて、本作品「「私が愛した危険な女」は、
当時、2時間ドラマをどの局もゴールデンタイムで、
競って量産しており、その1本です。
主演の小野寺 昭さんは2時間ものの帝王と謳われ、
そこへ、和服美人の叶 和貴子さんを迎えての作品でした。
画面だけではなく、撮影現場で接する日々の彼女の容姿、
白い柔らかい肌、おしとやかな立ち居振る舞いには、
僕もボーッとしたもんでした。
脇の俳優陣も、
牟田梯三、初井言栄、久保菜穂子、長門裕之、中谷昇諸氏、
今では懐かしい方々ばかりです。
そして、監督は野田幸男。
クランクインまでの準備中に、
「東映でカットを切り刻む監督で現場は大変だよ」
との声がチラホラ聞こえ、
僕は、東映の不良番長シリーズでヒット作を飛ばした監督と言えども、
「毎日、夜中終わりかなぁー、嫌だなぁー」
ってな、悪い先入観ばかりが頭を駆け巡ってました。
周りの声に、影響されやすい人間の弱いところです。
いざ、現場に入ると、毎日ではなかったものの、40%は当たってました。
この数字、多分、良い方でしょう。
で、ロケーション撮影のある日。
テストを繰り返し、本番スタートに入るため、
路上で交通整理(人の歩き、車の通過などを止める)をしていたその時、
カメラ前でチャンスを狙っていた監督が台本を叩き捨て、
交通整理している僕とY先輩のところにスッ飛んで来て、
「何やってんだ!替われ!」
僕のトランシーバーを取り上げ、監督自ら、交通整理をし始める。
カメラ横にいるチーフ助監督に向かって、トランシーバーで喚く。
「いいか・・・本番、ヨーイ、スタート!」
カメラ横のチーフも、
「・・・ヨーイ、スタート!」
そして、チーフが、
「・・・カット!」
監督が、
「どう?」
トランシーバーから、
「OKです」
監督は、黙ってその場を離れ、カメラの方へ帰っていった。
なぜって?
カメラ前と僕たち交通整理側とが、
なかなか、思うようにタイミングが合わなかったんでしょう。
でも、思います。
だったら、なぜ、チーフ助監督を通してやらせないかのか・・・?
後で聞いた話ですが、チーフとソリが合わなかったようでした。
だとしても、ある時代に名を残した監督です。
それに比べれば、
どこの雑魚の骨かわからない僕は、
とっても失礼な事をしたことになります。
「ホントに悪いことしたなぁー!」
心に渦巻くものを残したまま、
その後、
僕たちに、怒鳴りもせず撮影を進める監督のもとで、
仕事を滞りなく終えることができました。
白いキャップを愛用していた監督の後ろ姿が妙に悲しかった。
でもさ、
みんな、カットの多い監督にはつきたくない。
やっぱり、眠たい。
深夜になるまでしたくないんだ。
監督は孤独だ!
撮影がクランクインした頃、
朝、ロケバスに乗った監督が、笑って言った。
「今日さ、朝から、ワインとステーキ食べて来たからさ。元気ですよ!」
「へー、そうなんですか?!」
僕の心が騒ついた。
●名を残した監督も人間だ
●監督は孤独だ!
この文は、今現在、記憶に残ってることを書き記したものです。
*カット=撮影時、フィルムがスタートして止まるまでの状態のこと
こん時の教訓
1、人脈がメチャ大事
2、面倒見の良い先輩。なので、見習って、誰かに恩返し
3、名を残した監督も人間だ
4、監督は孤独だ
いかがでしたか。
しばらく、僕の「助監督、回顧録」を綴っていきます。
よろしくお願いします。
時代は変わった、迷ってるヒマはない。
チャンスはいっぱいあるぞ!
何でもトライして自分を見つけろ!
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